ワールドカップ前に発売され、
すぐ買って読んだのに、
なかなか紹介できなかった本のことを書こうと思います。
「ジャパン」はなぜ負けるのか─経済学が解明するサッカーの不条理サイモン・クーパー,ステファン・シマンスキー(共著)
森田浩之(翻訳)
NHK出版
4年生や5年生くらいになると、
お母さんよりも
【サッカーに詳しく】なります。
サッカーのことを話すと
「わかってないなぁ~」というような顔をするでしょう。
サッカーやっているんだから「わかって」当たり前なんですが、
これが【サッカー素人】の人の意見からヒントを得るようになると、
一人前のフットボーラーです。
(まぁ~小学生では難しいでしょうかね)
日本サッカーについても、
【サッカー関係者】だけが日本サッカーについて考えるのではなく、
【サッカー大好きな他の分野の専門家】が真剣に日本サッカーを考えると、
新しいことや刺激的な変化が生まれると思います。この本はヨーロッパの【サッカー好き】な統計学者・社会学者・計量経済学者などが、
自分の得意分野の知見を駆使したデータなどを使って、
サッカージャーナリストと経済学者がサッカーを考えている本です。
例えば・・・
ロンドンの数学教授はいつもの仕事は「年金」に関する研究ですが、
サッカー好きな彼は1872年から2001年までの、
2万2130試合(!)のデータを7年かけて集めたそうです。
その膨大なデータを経済学者である筆者が、
難しい計算をして国際試合に関するいろんな発見を報告しています。
■ホームでの試合は、
約3分の2点分のハンディをもらっているのと同じ状態
■国際試合の経験が対戦相手の2倍あると、
0.5ゴールを少し超えるアドバンテージがある。
■人口が対戦相手の2倍あっても0.1ゴール分の重みしかない。
これまで【サッカー界の常識】が、
裏づけされたり、否定されたりしています。
そんなことよりも、
他の分野の専門知識をもった単なる【サッカー好き】な人達が、真剣にサッカーを考えるといろんなことが分かる
そんなことが日常的におこなわれる西ヨーロッパのサッカー文化はやはり奥深いということを感じますね。
この本の筆者は日本サッカーの課題として、
国際試合の経験不足
西ヨーロッパからの距離をあげています。
日本代表の試合は結構多くやっているように思いますが、
ブラジル・ドイツ・アルゼンチン・イングランドの半分程度らしいです。
それに、サッカーに関する交流と情報が入り混じる西ヨーロッパに、
選手として、指導者として、関係者として、
より多くの人が関われるかが大事なんですね。
もう一つ面白い例が・・・
2007-2008年シーズンのチャンピオンズリーグ決勝戦の話です。
この年はマンチェスターUとチェルシーの決勝となり、
1-1のままPK戦になった試合です。
この時のチェルシーのグラント監督は、
スペインの経済学者が分析した、
「マンUのPKに関するレポート」をもらっていたという話です。
そのレポートの主な主旨は、
■GKのファンデルサールは「キッカーにとっての自然なサイド」に跳ぶことが多い。
(つまり右利きならゴールに向かって左、左利きなら右)
■ファンデルサールが止めたPKのほとんどは真ん中の高さ
(つまり低いところ、高いところを狙えば決まる確率が高い)
■クリスチアーノ・ロナウドは助走の途中で止まると85%の確率で、
キッカーから見て左側に蹴る。
(ただしGKが動くと逆に蹴るので動いてはならない)というようなものだったらしいです。
↓コレがそのPK(映像の終盤ですが)
テリーの失敗は滑ったからですし、
アネルカは完全に逆に蹴っている。。。
データを鵜呑みにするのはよくないでしょうが、
この試合でいうとデータ通りであれば、
チェルシーが勝っているということですね。
(結果論ですけどね)
サッカーの作戦にデータを積極的に取り入れているコーチとして、
アーセナルのベンゲル監督やモウリーニョ監督などが有名ですが、
クラブとして有名なのはACミランの「ミラン・ラボ」という研究部署らしいです。
ミラン・ラボは跳躍力を分析するだけで、
この選手がどういう負傷をするかを70%近い確率で予想できるそうです。
なかなか面白い本ですが、
読むのに時間がかかるのが難点です(笑)
仁川SCも様々な仕事のコーチがいらっしゃいますし、
いろんな得意分野をもった保護者の方がいらっしゃいます。
それぞれの専門分野・得意分野を使いながら、
サッカーを考えることができれば、
新しいアイデアが生まれそうな気がしますね。
明日は6年生はフットサルの県大会ですね。
自分達の力を出し切って欲しいと思います。
お土産もたくさんもらえる大会ですが、
素晴らしい経験も持って帰ってきてください(笑)ガンバレ!6年生!
カレーが欲しいコーチより。
(カレーは高カロリーやけどね)